ポスター・その他

患者の権利法を作るプロジェクト資料(2003/12)

患者の権利法を作るプロジェクト始動
1.今回の問題の出発点
  • 医療ミス多発(慈恵医大・青砥病院の例など)
  • 抗がん剤による薬害(イレッサなど)
  • 世界的といわれている標準治療薬が国内では使えない


医療機関や医療関係者・行政の問題と捉えられているが、患者側には問題が無かったのか?

2. インフォームド・コンセントとは?

インフォームド・コンセントとは、『正確な情報に基づいて、自己(患者)の責任で検査や治療などの医療行為を選択する』という理念。
よって『自分でも受ける医療について勉強する』態度が必要であり、『自分で判断した結果は、自己の責任(医者のせいではない)』という覚悟も必要。

☆インフォームド・コンセントには、権利と義務が必要。←患者の自己責任で、最良の医療を選択することが出来る。積極的に医療に参加

70年代 パターナリズム  ベストな治療は医師が決める
現在  インフォームド・コンセント(説明と同意) 医師と患者はひとつのチーム
患者が自己決定を行う(自己決定権)

☆ この考え方が広まれば、患者・医療関係者共に利益になる。

3.患者の権利についての歴史
  • 患者の権利に関するアメリカ病院協会の宣言(1972年)

    http://www.dokidoki.ne.jp/home2/kmiwashi/america.htm

  • 患者の権利宣言全国起草委員会「患者の権利宣言案」(1984年)

    http://www.apionet.or.jp/~niss/days/sengen.html

  • 世界医師会(WMA)「患者の権利に関するリスボン宣言」(1981年・1995改訂)

    http://www.med.or.jp/wma/lisbon.html

  • 患者の権利法をつくる会「患者の諸権利を定める法律要綱案」 (1991年・1993・2001年改訂)

    http://www02.so-net.ne.jp/~kenriho/framepage.html

  • 日本弁護士連合会「患者の権利の確立に関する宣言」(1992年)

    http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/jinken/90/1992_3.html

  • 総合研究開発機構・薬害等再発防止システムに関する研究会「薬害等再発防止システムに関する研究」(1998年)

    http://www.nira.go.jp/newsj/kanren/100/103/yakuga2/yoshi.html

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  • 患者の権利 欧米16カ国の法制化状況 (メディオ)

    http://homepage3.nifty.com/medio/archives/kennri/kenri.htm

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国内の医療機関で制定した例

  • 日本生協連医療部会

    http://www.jhca.coop/patient_right/full_text.html

  • 都立病院の患者権利章典

    http://www.byouin.metro.tokyo.jp/osirase/sonota/kenri.html

4.活動の方法
  • エンドポイント‥患者の権利法の制定(議員立法)


☆患者・製薬企業・医療関係者・行政・政党(議員)の理解を得る

☆全国的な活動
患者団体との協力
政党への働きかけ
行政への働きかけ
製薬企業への働きかけ
医師・病院組織への働きかけ
⇒ 署名活動等で意思の表明 

☆地方的な活動(都道府県単位)
地元議員・議会への働きかけ
地元の病院への働きかけ
地域の患者会への働きかけ
<リスボン宣言に掲げられた患者の権利の例>

  • 良質の医療を受ける権利
  • 医師や病院などを自由に選択・変更する権利、他の医師の意見を求める権利
  • 治療に関して自分で決定する権利
  • 医療記録にある自分の情報を知る権利、症状について十分な説明を受ける権利
  • 個人情報の秘密が守られる権利
  • プライバシーが尊重される、苦痛を取り除いてもらう、人間的な終末期ケアを受けるなど尊厳が守られる権利

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『患者の権利法』を作る活動ご協力のお願い(各患者会や患者さんへ送る文章)

わが国の医療について、最近の医療事故・薬害の増加や、カルテ等の情報開示問題、医療費の増加、病院での3時間待ち3分診療・世界で標準的な治療が日本では行われていないなどの諸問題を契機とし、医療の質や安全性に対する国民の高い関心があります。
これらの問題を従来は医療に関する専門家が協議し解決を図ろうとして来ましたが、日本の医療関係者に努力が足らなかったし、自分たちの世界だけで都合の良い目先的な解決を追ってきました。
今本当に広く一般の理解、支持が必要なことに気付き、懸命にそれを訴えようとしていますが、国民や患者はたやすく理解を示しません。
『医療の特殊性』が幅を利かせ、『患者には説明しても分からない』と考え、行政や政治に業界は、患者不在で自分たちに都合が良い安易な策を選択してきたからです。
これからは『難しいから』と相手にしなかった患者へ説明する努力と工夫を始め情報公開をし、不信や不安を減らし医療関係者と国民の間に信頼関係を築き上げて、『全ての医療は患者のために』という理念の元に医療消費者と向き合う時代です。それによりしっかりしたコミュニケーションが生まれ、真の医療改革、しいては国民のための医療が生まれるはずです。
またこれらの問題の根本には、医療は患者中心だという理念が医師、患者共によく浸透していない事が原因としてあり、これに適切に対処するためには、国民一人一人が『自分に相応しい医療』について自ら考える習慣を身に付け、生涯を通じて安心な医療環境を構築して行くことが重要です。
患者中心の医療を推進に当たっては、幅広い国民の参加の下に、自ら医療について考え、実践して行くための取組みを国民運動として展開して行く必要があると思います。全国段階のみならず、地域や患者会単位においても患者中心の医療に関する理解の増進と実践の促進が必須でしょう。
患者中心の医療とは、全てが患者中心で行われる医療の事ですが、患者が医療において一番偉くなるという意味ではありません。
患者にとって一番大切なことは、ひとりの人間として尊重され、適切な医療を自分で選択することです。
医療関係者と情報を共有し、同じチームの一員として病と闘う事です。
そのために必要な情報公開等の患者の権利を明確にし、かつ相対的に患者の義務を確定する事は、患者(国民)の利益に留まらず、全ての医療関係に携わる者にとってメリットがあるはずです。
民主主義の原則が『立法・行政・司法』の三権分立であるように、医療の中心に患者自身がかかわり、協力し合って明日の医療を目指す必要があると思います。
そのためにも立場の弱い患者を自立させる『患者の権利法』が必要なのです。
過去からこれまで、医療の向上を目指す活動は、様々な主体がそれぞれの立場に応じ、多様な取組みが行われています。
『患者の権利法』制定は、これらの根本的な物であり、多くの組織や団体で情報交換を行うためのネットワークを作る事により患者の権利法の必要性が多面的に広がり、一般国民への認知度の向上につながるものと考えます。
この度、患者の権利法制定をするために活動をする事にしました。
この活動を通して、患者会や患者支援組織、ボランティアの方々、患者の皆様、医療に関心のある方々とネットワークを組み、相互間の情報交換、情報発信の支援、各種情報の提供等を行う事としています。
広く多くの方々と連携・協力関係を図りつつ、患者の権利法実現に向けて推進して参りたいと考えておりますので、皆様のご理解と積極的なご参加をお願い致します。

特定非営利活動法人 日本がん患者団体協議会(略称JCPC)
理事長  山崎文昭

患者の権利法について -進行期癌患者の立場からー

私は進行期肝臓癌患者として約四年前手術を受けた。
肝臓癌は八割が再発するという特徴があり死亡率も高い。
私もこの間十回以上の入院、再発加療を繰り返している。
手術直後、再発予防薬として非環式レチノイドが有効であることを知りその服用を望んだが「治験中」ということで服用が叶わず現在に至っている。
私はこの現実に対し「未承認または治験中であっても他に有効な手段がなければ自己責任のもとにその薬を服用できる法改正」を求めて国会請願を行った。
平成十三年六月この請願は採択され、その結果本年七月に改正薬事法が施行され「医師主導の治験」が認められるようになっった。
しかしその内容は我々の期待する内容とはほど遠く私を含め非環式レチノイド服用を待ち望む何万人もの肝臓癌患者は未だにこの薬を服用できる状態にない。
同様の事例は各癌治療薬に多数存在し多くの癌患者が飲みたい薬を飲めないという状況にある。
その要因としては治験中の薬を服用出来ないこと以外にも、混合診療禁止のため医療機関が有効薬を癌患者に投与できない、適応除外のため薬があるのに服用できない、未承認のため世界標準治療薬を海外から個人輸入しなければならない、などの法規制があること、更に癌患者に必要な情報が充分に伝わっていないなどの問題がある。
これら全ての問題を解決するために約二年前、我々は日本癌患者団体協議会(JCPC)を結成した。

私達の要望する主な趣旨は
(一) FDA認可薬の一括承認
(二) 抗がん剤の適応除外の廃止
(三) 未承認薬の自己責任での服用
(四) 癌治療薬の混合診療の解禁
(五) 的確な情報開示
などであるが基本理念としては我が国の憲法にうたわれている「個人の尊重」を癌患者に適合させることである。
進行期癌患者にとって癌治療薬に関する自己決定権、さらにそれを可能にする情報開示は生命維持に直結する重大な問題であり特に憲法第十三条には「生命追求に関する国民の権利については立法そのた国政の上で最大の尊重を必要とする」と書かれている。

厚生労働省は薬の副作用には過敏に反応しその承認を遅らせているが癌治療薬にかんしては一般薬と異なり有効な癌治療薬の承認を遅らせることにより多くの癌患者の生命救済の道を閉ざしている。
厚生労働省がより有効な薬、よりよい選択肢を呈示することなくいたずらに癌患者の希望する薬の服用を妨げることは憲法で保障された「生存権」を脅かしている。
現行薬事法の下でのみたい薬が飲めない、そのために助かるべき命が助からないという進行期癌患者にとっては、「患者の権利法」を明文化することが全ての 問題解決の基本になると考えている。

我々癌患者は知る権利を行使し、癌治療薬に関する必要かつ充分な情報の提供を得て、患者の自己責任の下に納得のゆく癌治療薬服用ができるよう厚生労働省に”お願い”をするのではなく”国民の権利”を主張すべき時ではないであろうか。
報道関係者の方々のご理解と協力、ご支援を心より期待したい。

平成十五年十二月
癌治療薬早期認可を求める会
日本癌患者団体協議会
三浦捷一

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