ASCO(アメリカ臨床癌学会)2000年で発表されたクロノテラピーについての世界の論文の一部


◆60%
 #1255-2000.
 Chronotherapy of Metastatic Colorectal Cancer (MCC) with 5-Fluorouracil (5-FU)-Leucovorin (LV)-Oxaliplatin (L-OHP) as Second to Seventh Line Treatment.

 転移性結腸直腸ガンに対するセカンドラインから7thライン・セラピーとしての、5 −フルオロウラシル(5−FU),ロイコボリン(LV) 及びオキサリプラチン(L-OHP)を用いたクロノテラピー


◆56%.
 #936-2000.
 Final Efficacy Update at 7 Years of Flat vs Chronomodulated Infusion (Chrono) of Oxaliplatin, 5-Fluorouracil and Leucovorin as First Line Treatment of Metastatic Colorectal Cancer.
 転移性結腸直腸ガンに対するファーストライン・セラピーとしての、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル及びロイコボリン配合の時  間調整静注(クロノテラピー)対持続静注法の7年調査の有効性に関するアップデイト最終版

◆56%.
 #1098-2000.
 Quality of Life (QOL) Evaluation During Infusional Chronotherapy (Chrono) in Advanced Colorectal Cancer (ACC) Patients (Pts): Correlation with Clinical Parameters.
 進行性結腸直腸ガン(ACC)患者に対するクロノテラピー施行期間中の生活の質(QOL)に関する評価: 臨床的パラメータとの相関関係

60%.
 #2533-2000.
 Randomized Trial of Chronotherapy with 5-Fluorouracil (5-FU) and Folinic Acid (FA) in Patients with Advanced Gastric Cancer.

 
進行性胃ガン患者に対する5−フルオロウラシル(5−FU)及び葉酸(FA)を用いたクロノテラピーの無作為臨床試験




◆転移性結腸直腸ガンに対するセカンドラインから7thライン・セラピーとしての、5−フルオロウラシル(5−FU),ロイコボリン(LV)及びオキサリプラチン(L-OHP)を用いたクロノテラピー。 


筆者:Sylvie Giacchetti,Rachid Zidani,Philippe Chollet,Luigi Dogliotti,Francis Kunstlinger,Annick Le Rol,Carlo Garufi,Silvano Brienza,Christian Focan,Frederique Bertheault-Cvitkovic,Jean Louis Misset,Francis Levi,
Paul Brousse病院(フランス)、International Organization for Cancer Chronotherapy(フランス、ヴィルジュイフ)


概要
出版:2000年。転移性結腸直腸ガンに対するセカンドライン・セラピーから7thライン・セラピーとしての、5−フルオロウラシル(5−FU),ロイコボリン(LV)及びオキサリプラチン(L-OHP)を用いたクロノテラピー。5-FU, LV, L-OHPの時間調整静注は、MCC患者の耐薬性と治療効果を高めた。更に、以前は切除不能とされた患者の転移部位も、完全に除去することができた(ANN.1999,10..)


5-FU,LV,L-OHPの時間調整静注はMCC患者の耐薬性と治療効果を高めた。従来の投与法に比べて、この配合によるクロノテラピーは、投与量の増大や、治療期間の延長を可能にした(JNCI 1994, 86:1608-17; Lancet 1997, 350:681-6)。更に、以前は切除不能とされた患者の転移部位も完全に除去することができた (Ann.Oncol.1999, 10:663-9)。1992年から1996年にかけて、3カ国10ヶ所の医療施設(うち、75%の患者はP.Brousse病院の患者)から196名の患者が4回の第2相臨床試験に参加登録し、セカンドラインから7thラインのセラピーとして、5-FU, LV, L-OHPのクロノテラピーを受けた。患者の特性:年齢(訳者注:中央値?):57歳; 結腸 73%、肝臓への転移 25%:31%; 波及臓器 2:44%; PS:0=52%/ 1=27%/ 2=21%; 既往の化学療法:1=60%, 2=40%. 結果:196名の患者における他覚奏効率:42%[95% C.L., 35-50]、そのうち、セカンドライン・セラピーとして受けた患者118名の奏効率は44%[35-53]、サードライン・セラピーとして受けた患者78名の奏効率は36%(25-46)。 クロノテラピー施行後に転移部位が外科手術で全面的に除去できたのは、患者全体の18%(12−23)、セカンドライン後が24%[24-32]、サードラインから7thライン・セラピー後が9%[1.5−16]であった。 196名の患者の、病巣の進行を伴わない生存期間(PFS)の中央値は9ヶ月(m)[8-9], また、生存期間は17ヶ月(15−20)であった。 セカンドライン・セラピーを受けた患者118名のPFSは10ヶ月、生存期間は19ヶ月(16−22)であった。サードラインから7thライン・セラピーを受けた78名のPFSは8ヶ月[6-10], 生存期間は16ヶ月であった[12-19]。 上記の結果は、外科的に切除不能の結腸直腸ガンには、セカンドライン・セラピー以降、5−FU,LV,1−OHP配合によるクロノテラピーが効果的であることを示唆している。ARTBC(フランス、ヴィルジュイフ)及びDebiopharm S.A.(スイス、ローザンヌ)協力。



◆転移性結腸直腸ガンに対するファーストライン・セラピーとしての、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル及びロイコボリン配合の時間調整静注(クロノテラピー)対持続静注法の7年調査の有効性に関するアップデイト最終版。


筆者:Francis A Levi, Rachid Zidani, Jean-francois Llory, Luigi Dogliotti, Bruno Perpoint, Stefano Iacobelli, Philippe Chollet, Christian Focan, Car5lo Garufi, Annick Le Rol, Sylivie Giacchetti, Jean-Louis Misset。(フランス、ヴィルジュイフのInternational Organization for Cancer Chronotherapyスタッフ)。


概要
目的:双方の治験(持続静注140名、クロノテラピー138名)からプールされたデータに関する有効性の評価。 方法:病変が進行するまで2ヶ月ごとにコンピュータによる断層撮影でスキャンし、薬効を評価。すべての登録患者に関する1999年9月時点での病変進行及び生存データのアップデイト最終版。クロノテラピーが生存期間を延長するという仮説については、EORTCクロノテラピーアンケート調査によって現在調査中。


背景: 耐薬性及び奏効率の面におけるクロノテラピーの有効性が、2回連続で実施された無作為マルチセンター治験によって示された(JNCI 1994、86:1608−17;ランセット 1997, 350:681-6)。 目的:双方の治験(持続静注140名、クロノテラピー138名)からプールされたデータに関する有効性の評価。 方法:病変が進行するまで2ヶ月ごとにコンピュータによる断層撮影でスキャンし、薬効を評価。すべての登録患者に関する1999年9月時点での病変進行及び生存データのアップデイト最終版。結果:他覚的奏効率は持続静注法が30%[95% 信頼限界 24−36]であったのに対して、クロノテラピーは51%[43-60] (p from c2<0.001)。 プロトコール治療後に外科手術による転移腫瘍の全面切除が施行されたのは、持続静注患者の12.8%[7.2-18.4]、クロノテラピー患者の23.2%[16.0-30.4](p from c2<0.001)であった。進行を伴わない生存期間の中央値は、持続静注法が7.5ヶ月[6.9-9.0], クロノテラピーが10.3ヶ月[8.8-12.5](p fromLog rank=0.039)。 生存期間の中央値は持続静注法で16.5ヶ月[14.5-18.5]、クロノテラピーで18.6ヶ月[15.5-22.2](p=0.22)であった。5年生存率は、5年目でそれぞれ12.6%と15.2%, 7年目で6.6%と7.1%であった。生存期間に有意な差が認められなかった理由としては、主に以下の3点が考えられる:1) 統計的に不十分; 2) 肝臓転移手術後の再発性転移疾患の患者割当の不均衡(患者の10%が無作為で持続静注法に、22%がクロノテラピーに割り当てられた);(p from c2<0.001); 3) 持続静注法からクロノテラピーへクロスオーバーした患者が36名(26%)いたが、これが、生存期間の中央値に明らかな影響を及ぼした(クロスオーバーなし:14.7ヶ月、クロスオーバー18.5ヶ月;p=0.043)。 結論: 2回連続のマルチセンター治験からプールされたデータに基づいて行われた今回の解析では、クロノテラピーは、耐薬性、他覚奏効率並びに外科手術的に完了した完全寛解率を改善したほか、病変の進行を伴わない生存期間を延長したことが判明した。 クロノテラピーが生存期間を延長するという仮説については、EORTCクロノテラピー研究グループ(EORTC 5963)が現在調査中である。 ARTBC(フランス、ヴィルジュイフ)及びDebiopharm(スイス、ローザンヌ)協力。



◆進行性結腸直腸ガン(ACC)患者に対するクロノテラピー施行期間中の生活の質(QOL)に関する評価: 臨床的パラメータとの相関関係。


筆者:Patrizia Pugliese, Carlo Garufi, Maria Perrone, Rita Maria D'Attino, Anna Maria Aschelter, Albina Rita Zapala, Gioan Carlo Antonini, Diana Giannarelli, Maurizio Cosimelli, Edmondo Terzoli, (イタリア、ローマのRegina Elena研究所スタッフ)


概要
出版:2000年 1098 進行性結腸直腸ガン(ACC)患者に対するクロノテラピー施行期間中の生活の質(QOL)に関する評価: 臨床的パラメータとの相関関係。 既知の臨床的パラメータとの相関関係が認められた。より低い GPがT0で女性患者に認められ (pa 0.02)、 3global scalesに関してはT1((pa0.05)で認められた。Lower Global Health Scale…


序文:クロノテラピーは、各種薬剤を異なった時間に投与する化学療法である。同一薬剤を同一用量で継続的に投与する持続静注法に比べて、クロノテラピーは奏効率を高め、毒性を減少させる(Levi他。JNCI '94, ランセット'97)。 薬剤の静注による化学療法の利用が増大するに従って、主たる治療エンドポイントとしての「患者の生活の質(QOL)」の評価が必要となってきた。目的:進行性結腸直腸ガンに対するファーストライン・セラピーとして、5−フルオロウラシル及び葉酸並びにオキサリプラチンもしくはマイトマイシンーCもしくはCPT−11を用いたクロノテラピーを施行された転移腫瘍治療済みの患者と転移腫瘍未治療の患者にEORTC QLO+C30+3アンケート調査を行い、クロノテラピーが患者のQOLに及ぼす効果を評価すること。既知の臨床パラメータとの相関関係が認められた。方法:アンケート調査は、ベースラインとなる試験開始時(T0)と 3コース終了後(TI)に105名、6コース終了後(T2)に82名、そして9コース終了後(T3)に43名に対して行われた。結果:患者データ:105名の患者のデータが評価された;患者の年齢の中央値は60歳(25−78歳)、男女別患者数:男性65名/女性40名; パフォーマンス・ステイタスは O:56名、1:32名、2:17名; ファーストライン・セラピー 60名、セカンドライン・セラピー 45名; 薬効の認められた患者(病巣が消失もしくは縮小)は32名(全体の31%)、病巣に変化なしの患者が34名(32%)、病巣が進行した患者が37名(35%)、評価不能の患者が2名(2%)であった。治療の全期間中、すべての患者において、機能及び症候測定尺度の平均値の改善が認められ、特にT2(6コース終了後)においてはGlobal Physical(GP)(pa0.01)とGlobal QOL(QOL)(pa0.03)の改善が顕著であった。女性患者については、より低いGPがTOに見られ(pa0.02)、3 global scalesがT1に認められた(pa0.05)。また、より低い Global Health Scale(GH)とGQLがパフォーマンス・ステイタスの低い患者にTOとT1で、GPがT1で認められた(pa0.05)。3 global scalesについては、T1において、RC+RP対P並びにS対Pで有意な改善が認められた(pa0.001)。T2においては、QOLと臨床的パラメータの間に相関関係は認められなかった。 結論: クロノテラピー施行中の患者のQOLは、6ヶ月間、高レベルを維持した。男性患者や予後徴候因子(PS,腫瘍反応など)が治療の3コースまで良好だった患者の場合は、他の患者よりQOLレベルが高かった。これにより薬剤静注によるクロノテラピーは、進行性結腸直腸ガン患者のQOLにプラス効果を及ぼすと考えられる。



◆進行性胃ガン患者に対する5−フルオロウラシル(5−FU)及び葉酸(FA)を用いたクロノテラピーの無作為臨床試験。


筆者:Bulent Yalcin, Hakan Akbulut, Abdullah Buyukcelik, Orhan Sencan, Filiz Senler, Ahmet Demirkazik, Handan Onur, Dilek Dincol, Fikri Icli (トルコ、アンカラ、アンカラ大学スタッフ)


概要:転移性胃ガンの患者20名に対して、無作為で、最初のサイクルではクロノテラピー(夜間投与)と昼間投与をそれぞれ施行し、次のサイクルでは、クロスオーバー(被験者と投与法を入れ替えて)施行した。血球算定は各サイクル終了後に毎週繰り返して行われ、各種毒性も記録された。患者のクロスオーバーは各サイクル終了後に行われた。QLO−C30に関しては2療法間に有意な差は認められなかった。


化学療法の毒性は薬剤の時間調整投与によって軽減できる可能性がある。末梢血球のリズム(周期)が、松果体のつかさどる体全体の概日リズム(日周期)を反映しているかもしれないことを、我々は以前の研究で示唆した(Akbulut, J.Pineal Res 1999; 26:1)。今回の研究は、5−FUFAの時間調整静注(血球のリズムによって個別化)に対する患者の耐薬性を、同一スケジュールの通常の昼間静注と比較評価するために設計された。転移性胃ガンの患者20名に対して、無作為で、最初のサイクルにはクロノテラピー(夜間投与)と昼間投与をそれぞれ施行し、次のサイクルは、クロスオーバーで施行した。投与スケジュールは、5FUが600mg/m2, 8-10時間静注、FAが20mg/m2(静脈注射)、d1-d5 であった。患者全員には、治験参加時と各サイクル終了後に、QLO-C30アンケート調査(EORTC)を行った。血球算定は各サイクル終了後、毎週繰り返して行われ、各種毒性も記録された。18名の患者(年齢中央値は54歳、分布41−69歳)が評価可能の適格者であった。第1サイクルでは、10名の患者がクロノテラピーを、8名が昼間静注を施行された。患者は各サイクルが終了するごとにクロスオーバーで別の投与法による静注をうけた。患者全員が最低2サイクルの療法を受けた。第2サイクル終了後の奏効率は33%(95% CI:12-55)であった。QLO−C30スコアに関しては、試験開始時には双方の投与法に有意な差はなかった。しかし、第1サイクル終了後、QLO-C30スコアの面で、クロノテラピーは生活の質を45%改善を達成(p=0.021)したが、昼間静注法は11%の改善にとどまった(p=0.575)。 クロスオーバー後も、クロノテラピーは、昼間静注法に比べて、QLO-C30スコアに有意な改善を示した(14%vs18%、p=0.001)。 血液毒性に関しては2投与法間に有意な差はなかったが、昼間静注法は、クロノテラピーに比較して、下痢の症例数が有意に多かった(p=0.015)。 結論として、末梢血球周期に基づく5−FUの時間調整静注は、患者の生活の質と療法の毒性を改善する可能性があり、進行性ガンの患者に対する毒物の時間調整投与の臨床試験が今後も必要であることが示された。